BunDokuブックフェア

 

BunDokuブックフェアとは、これまでの参加者の皆さまから、(1)本の写真(正面から撮影したもの)、(2)本の紹介文(200字以内)、(3)ペンネームを送っていただき、ウェブページにまとめて掲載するという企画です!

 

また、今回は「やばけい読書会」の皆さまにもご協力いただき、ペンネームの前に「やばけい」と入れさせていただきました。一緒に大分の読書活動を盛り上げていきましょう!

 

というわけで、読書会を開催できない状況が続くなか、皆さまがどんな本を読んでいるのか教えていただきました。どうぞご覧ください!

 

 

1.大山顕『新写真論』

生まれて初めてメガネをかけたとき、世界はこんなに見えるのかと感動した。これはレンズの働きによるものだが、レンズは目に入ってくる光を調節し、網膜に像を結ぶようにしてくれる。大切なのは、光は常に届いていたということで、私は目の限界ゆえにそれを受け取れずにいたのである。つまり、メガネが世界を受け取れるようにしてくれたのだ。本書のテーマは写真だが、カメラは何を受け取れるようにしてくれるだろうか。オススメ。(スーパーメガネタイムさん)

 

2.ヴィクトール・フランクル『夜と霧』

日本語訳「夜と霧」(韓国語訳「死の収容所から」)は第二次世界大戦中、オーストリアの心理学者で精神科医だったユダヤ人のヴィクトール・フランクルが強制収容所から奇跡的な生還を果たした後、冷静な視点で収容所での体験を綴った一冊(1946年出版)です。強制収容所という絶望的な環境の中でもフランクルは「人間の生きる意味」や「人生とは何か」探り続け、「どんな状況であっても人生には意味を見出すことができる」と説きました。私達「人生(生きること)にどんな意味があるのか」とよく悩みがちですが、人生は与えられたものであり、それをどう受け取って、どう行動するかに私達は問われているんだと「人間の自由意志」と「運命」について深く考えさせる本です。ポジティブシンキングでコロナ情勢を乗り切る!!(あさきりそんさん)

 

3.劉慈欣『三体』

話題の中国発のSF小説、三体。アジアで初めて世界的なSF賞のヒューゴー賞を受賞した話題作の和訳が2019年ついに発売!謎のVRゲーム三体の正体とは?謎解きや目から鱗の科学理論の他、魅力的な登場人物が巻き起こす壮大なスペクタクル。戦いの末に彼らを待ち受けていた驚愕の真実とは!?三部作の1作目。2作目の三体Ⅱ:黒暗森林は2020年夏に和訳版が発売予定。続編が待ち切れない!今年は三体世界の壮大な世界に入り浸りましょう!(やばけい・山奥の読書家さん)

 

4.恩田陸『ネバーランド』

大人と子供の間で揺れ動く男子高校生4人のお話。トラウマのようにずっと内に秘めていた悩み。それを他人と共有することで、違う一面が見えたり、一歩前に進みだす。反発や喧嘩をしながら、たった数日で絆が深まっていく多感な高校生活の描写も絶妙で、清々しい力強さがありました。一人称で話をしていく中には本人の思い込みがあり、必ずしも事実とは違う面がある。自分に置き換えても考えさせられる所もある作品でした。(やばけい・ばたこさん)

 

5.阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男 伝説とその世界』

子供の頃にNHKの人形劇で「ハーメルンの笛吹き男」を観た。「ネズミ退治の笛吹き男が代金の支払いをしぶった町の住人に腹を立て、笛の魔法で町の子供達を連れ去る」というお話だった。童話と思っていたお話が、実話を下敷きにしたものだったというから驚きだ。推理小説みたいに読める「歴史の本」である。支払いの段階で「元手がかかってない」「労働時間が短い」などの理由でもめるというのは、今も昔も変わらないものである。(やばけい・むねキングさん)

 

6.水木しげる『人生をいじくり回してはいけない』

赤紙、戦争、マラリア、片腕。受け入れがたきを、飄飄と生きてきたような水木しげる氏。飄飄と平気でいるには、それなりの肝の太さが必要だと気付く。小心者に「気にしない」は無理なのだ。水木氏らしい幸福感にも考えさせられる。「99%のニンゲンは無能」の話もショックではある。しかし「亀なのにイルカの真似をして苦しむな」。そう言われているようで、自分に失望しつつも、何故か気が楽になっている。魔訶不思議な本である。(やばけい・ねこのこことりさん)

 

7.松岡正剛『日本文化の核心 「ジャパンスタイル」を読み解く』

書評サイト「千夜千冊」で知られる松岡正剛の『知の編集術』(2000年)から2冊目の現代新書、前作は松岡読書術のエッセンスが詰まっていたけれど、今回はこれまでの「日本文化論」の集大成版、ありとあらゆる日本文化の特長といわれるものが羅列されていて圧巻です。西洋の論理ではわり切れない日本文化の特質は「廃コンテキスト」、わかりにくい文脈や表現にこそ真骨頂があるのだと。私が苦手とする分野を解説してくれます。(フージーさん)

 

8.イタロ・カルヴィーノ『木のぼり男爵』

これは18世紀イタリアを舞台として、男爵家の長男コジモ少年が父親とケンカして、木の上に逃げ込み、65歳の生涯を終えるまで地上に降りなかった、という物語です。コジモは、森の中で木から木へ渡り、狩りをし、本を買って読み、果ては出版まで行うことで(全て木の上で!)、地上の低さ、低俗さとは切り離された生涯を送ります。ユーモアと爽やかな語り口が、あなたを奇想天外な創作の世界に連れ出してくれるでしょう。(T.M.さん)

 

9.二川幸夫(撮影)『バラガン自邸』

世界的建築家が自身の邸宅を設計するとしたら。それも世界遺産になっているような。きゃりーぱみゅぱみゅも訪れたメキシコにあるルイス・バラガン邸はそんな邸宅のひとつだ。ピンク色の壁、光と植生が招かれる土着と神秘。ここには朝食をとるためだけの部屋がある。礼拝室にも似た小さな空間。私も朝食室のある家に住みたい。朝食はあまり食べないけど。旅ができないのなら、せめて本のなかで。そんな思いを満たしてくれる本です。(シミズさん)

 

10.彩瀬まる『やがて海へと届く』

彩瀬まるさんにハマるきっかけになった本。東日本大震災から三年、消息不明の親友を悼み続ける主人公と、不思議な一人旅を続ける女性と、二つのターンが交互に繰り返され物語は進んでいく。大切な人の死と正面から向き合い、ようやく受け入れたときの主人公の思いは。生きること死ぬことを繰り返しながら人の営みは脈々と続いていく。生きていくということの揺るぎなさが感じられる一冊です。(のなかさん)

 

11.河合隼雄『日本人とアイデンティティ』

コロナウイルス感染症が世界中で猛威を奮っている。その猛威は個人の健康を害すに留まらず、社会全体に不安と恐怖による混乱をもたらしている。これまで目を見張るほどの速さで発展を遂げたテクノロジーを持ってしても、その脅威から完全に人類を解放するのは難しいようだ。私達は、今直面している不安や恐怖と如何に付き合うべきなのか。1995年の著作であるが、テクノロジー偏重時代の今、もう一度読み返したい一冊である。(かいさん)

 

12.雷鈞『黄』

近年少しずつ翻訳されている「華文ミステリ」。中国台湾香港の背景も魅力ですが、作者達は英米日のミステリをリスペクトしているそうで、ルビの多い人名に慣れれば読み易いです。あらすじ:中国の孤児院で育ち裕福なドイツ人夫妻の養子となった盲目の少年。中国の6歳男児の凄惨な眼球摘出事件を知り謎を解くため故国に帰るが…。過去と現在を行き来する章。冒頭の「叙述トリックあります宣言」て何?少年が最後に解く謎とは?(カッシーさん)

 

13.ナサニエル・フィルブリック『復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇』

捕鯨用ボートで8300kmを漂流した船員の体験記、手記を基に執筆された書籍。メルヴィルが白鯨の着想を得た海難事故である。捕鯨の町ナンタケットの文化、歴史、差別が現実的な視点で考察される。他分野の研究も数多く引用され、作者の考察は客観的、論理的で説得力がある。その作者は体験記、手記の一部に意図を感じている。船員は運命共同体として生き残る為に凡ゆる手段を尽くす。飢餓、密室の恐怖と規律の尊さが伝わる。(げみさん)

 

14.ショーペンハウアー『読書について』

「悪書は知性を毒し精神をそこなう。良書を読むための条件は、悪書を読まないことだ。」ゲーテ・ニーチェ・カフカなど、後世に多大な影響を与えた哲学者の言葉は辛辣で、時に耳が痛い。しかし、もっと言葉を大切にしよう、ちゃんと自分の頭で考えようという彼の主張は、時代を超えて心に響く。言葉と思考、そして芸術は最強の実質的な力がある。今こそ文学が必要であると強く感じる。「私たちは食物で身体をやしない、読んだ書物で精神をつちかう。」(チカさん)

 

15.ジェフリー・ユージェニデス『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』

ソフィア・コッポラ監督の『ヴァージン・スーサイズ』の原作として有名な小説で、美しい10代の姉妹の1年の悲劇を同じ街の“青年達”の調査視点から描いた作品です。事件への明確な理由は最後まで輪郭を得られず謎は謎のままですが、後退する街の雰囲気、10代の少女の息苦しさ気怠さ、抑圧された行き場のない感情が痛いほどに伝わります。映画と合わせて連休中に是非読んでみてください。(私は今から映画を見ます!)(ポムポムトクリンさん)

 

16.ジャック・ロンドン『どん底の人びと』

この本はヴィクトリア朝終焉直後のイギリスはロンドン、貧民街のイースト・エンドにてジャック・ロンドンがぼろ服を着て敢行した潜入取材を基調にしたルポです。一度零落すれば容易には抜け出せない貧困や救世軍の給食所での不衛生な食事など、資本制の歪による怠惰や自己責任では到底片付けられない悲惨な現実を、克明に描いています。現代の貧困問題の構造にも通じる内容となっていると思います。ご一読を。(バルダミュさん)

 

17.本川達夫『生物学的文明論』『ゾウの時間 ネズミの時間』

動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくるという。生物学的には人間の寿命は40歳程度とか。長命になったのは医療、食料など技術全般の進歩のおかげ。我々の後半の人生は技術が作り出した「人口生命体」であると。さらに「穀物を食べさせて牛に肉を作らせるより、われわれが穀物を食べた方がずっと無駄がない」と牛を食べる事の贅沢にも触れている。生物としての「私」がぐらついた2冊です。(明野の隠居さん)

 

18.石井ゆかり『星栞 2020年の星占い 蠍座』

幻想的な比喩と柔らかな文体。私の目的は占いとして時の流れを知る。もう1つの目的は人との会話で活かせそうな言葉や言い回しを見つける。読む視点や捉え方は様々。12星座あなたの星の言葉を眺めてみませんか?(抹茶ぱんさん)

 

19.大木毅『戦車将軍グデーリアン』

新書大賞を取った独ソ戦を書かれた大木毅さんの最新作『戦車将軍グデーリアン』です。ドイツ軍事史をかじったことがある方にはドイツ装甲部隊(戦車部隊)の父として有名なグデーリアンの実像に迫っていきます。歴史好きな方には興味深い作品になっています。全く知らない方でも、意に沿わない部署に異動を命じられ、才能を開花させるも、相性の悪い上司とぶつかってしまうところにビジネス面から共感できる部分があると思います。(ゆきかぜさん)

 

20.ドストエフスキー『地下室の手記』

主人公は圧倒的に自分を醜く描くと同時に他とは違う何かがあるような過剰な自意識を持っている。ここまで描くのかと昔、太宰の『人間失格』を読んだ時の衝撃を思い出した。パーティーに見栄だけで参加し、プライドを傷つけられ復讐に燃えたり。好きな女性を哀れみ、人間や愛とは何かを情熱的に自分に酔って語ったり。ドストエフスキーならではの人間あるいはロシア人の生きる強いエネルギーが絶望から燃え上がるような内容だった。(くまたろうさん)

 

21.ミシェル・ウエルベック『素粒子』

全国各地の春祭りは中止ですが、私は一人ウエルベック祭り開催中!本作は作者の出世作で本国フランスでは賛否両論、ベストセラーになりました。主人公は非モテ文学青年崩れの兄ブリュノと、人を愛せない分子生物学者の弟ミシェル。対照的な異父兄弟の人生を辿りながら、自由ゆえに不自由な現代社会の矛盾と孤独が描かれます。個人の欲望を肥大させる資本主義の行き着く果ては?そして人類が辿り着く「すばらしい新世界」とは?衝撃のラスト1行は読む価値十分!(N改めオカザキさん)

 

22.小路幸也『話虫干』

以前紹介された本を遂に読みました!昔読んだ本を再読し、こんな話だった?と感じる経験は話虫干の仕業なのかも。馬場横町市立図書館の司書には、代々課せられた業務があった。それは、本に入り込んで物語を作り替える「話虫」を捕まえ、元の物語に戻す「虫干し」。新人司書の糸井が飛び込んだのは、「こころ」の初版本だった。「先生」「K」の親友として3人で友情を深める中、誰も死なせたくないと願ってしまい..。(Mさん)