【レポート】バタイユ会に参加しました

 

日時:2023年4月30日(日)

会場:大分県立美術館・カモシカ書店

 

事務局の江藤です。

 

GW特別講演「バタイユの思想 芸術と戦争の関わりを考える」に参加しました!

 

ジョルジュ・バタイユ(1897-1962)はフランスの哲学者・思想家で、まさに芸術と戦争の関わりを考えた人でした。今回は、そんなバタイユの思想を研究し、その著作をたくさん翻訳してきた酒井健(さかい・たけし)先生が特別講演を行いました。カモシカ書店・岩尾さんの師匠だそうです。

 

大分県立美術館で行われた講演会には、4つの論点があったと思います。

 

(1)芸術は語りえぬものを指し示す

(2)芸術は破壊と創造を繰り返す

(3)人間には自己否定の葛藤がある

(4)人間には破壊衝動がある

 

まずは(4)について、精神分析学者・フロイトによれば、人間には破壊衝動があり、その現れが戦争だといいます。その上で彼は、破壊衝動を戦争とは別の方向へ差し向けることを提言しました。

 

今回の主役・バタイユもフロイトの影響を受けており、破壊衝動を別の方向へ差し向ける試みとして、芸術について考えたそうです。

 

そこで(3)ですが、バタイユはラスコーの壁画における人間図像と動物図像の対比から、人間の動物への憧れ、すなわち人間の自己否定的な葛藤を読み取ります。

 

さらに(2)ですが、バタイユは芸術が破壊と創造を繰り返すことに着目し、そこに自己を否定して変えていく人間の葛藤を見出しました。

 

というわけで、バタイユは、人間の破壊衝動を戦争とは別の方向へ差し向ける試みとして、人間の自己否定の葛藤に着目し、その現れとしての芸術について考えたということのようです。

 

最後に(1)ですが、まず私たちは、世界を「語りうるもの」すなわち人間の言葉で把握できるものとみなし、語ることによって所有しようとします。しかしそれでも「語りえぬもの」すなわち把握しきれないものを残すことができ、それを指し示すのが芸術だそうです。

 

まだよく分かっていないのですが(1)は人間の自己否定の葛藤に関わるのかなと思いました。芸術は、人間の言葉では把握できないもの、たとえば沈黙を指し示すことで、人間に自己否定を迫るのかもしれません。

 

さて、以上が講演会の内容です。懇親会はもう盛り上がりすぎて書ききれないのですが、私の質問に対して先生が教えてくださった「共同性を持たない者たちの共同性」という概念は大事にしたいと思いました。

 

後日、先生から「BunDokuの彼に」ということで論文もいただきました。毎熊佳彦「観照のディレンマ――初期ニーチェの言語論を中心に」という論文です。こんな一節があります。

 

「広場が存在しないなら、語りつつ広場を創造しなければならない」

 

痺れました。読書を通じて仲間が集う場、すなわち孤独によって連帯する場、それがBunDokuですが、共同性を持たない者たちの共同性のために、今後とも広場を創造していきたいです。ありがとうございました。