日時:2024年12月22日(日)10:00~11:30
会場:OITA MIDTOWN(大分市中央町)
参加者:9名
事務局の江藤です。第142回目の読書会として、課題図書を読んで感想を話しあう会を開催しました!初参加の方1名を迎え、9名での開催となりました。
課題図書は、若松英輔『悲しみの秘義』(文春文庫)でした。新聞連載をまとめたエッセイ集ですが、一編あたり一冊の本が紹介されていて、書評集としても読める一冊でした。
まずは「同じものがないから二つの悲しみは響き合い、共振するのではないか。独り悲しむとき人は、時空を超えて広く、深く、他者とつながる」(p.16)という一節について、同じものがない(孤独である)から響き合う(連帯できる)という論理が面白いという指摘がありました。
私たちBunDokuも「読書を通じて仲間が集う場」ということで、読書という孤独な営みを通じて他者と連帯することをコンセプトにしていますが、それとの親和性が話題になりました。
彫刻家・舟越桂の「個人はみな絶滅危惧種という存在」という言葉も紹介されましたが、同じものがない(孤独である)ことは多様であることでもあって、孤独を受け入れることが多様性を受け入れることにつながるのではないかと思いました。
「読むときの状態によってこの本の感想が変わる」という意見もありましたが、自分の中にも様々な状態すなわち多様性があって、そうした内なる多様性に開かれていくことも大切なのかもしれません。
そのほか「彼[恋人]は逝き、それとともに私も今まで生きて来たこの生命を失った」(p.183)という神谷美恵子からの引用について、死別の経験はその人との間に成立していた自分を喪失することなのではないかという意見がありました。
一方で「死者との新しい邂逅」(p.90)という考え方もあって、死別することはその人との関係が終わることではなく、死者としてのその人に出会い直すことであり、その人との間に成立していた自分も存続するのではないかと思いました。
ご参加いただいた皆さま、充実した時間をありがとうございました。またのご参加をお待ちしております!