第137回・BunDoku読書会

 

日時:2023年11月25日(土)17:00~18:30

会場:レンタルスペースeat(大分市)

参加者:11名

 

案内人のカオリです。第137回・BunDoku読書会を開催しました!今回は初参加の方2名を迎え、11名での開催となりました。

 

課題図書は、小川洋子さんの『博士の愛した数式』。交通事故の後遺症で80分しか記憶がもたない元数学者「博士」と、シングルマザーの家政婦である「私」とその息子「ルート」の交流を数学と野球を通して描いた作品です。

 

第1回本屋大賞受賞作で映画化もされている有名な作品ですが、数学と野球がテーマということで、意外にも以前読んで挫折した、または初めて読むという方も多かったです。

 

「登場人物全員名前が出てこないのに、どこかの街に確かに生活を営んでいるリアルさを感じた」「未亡人(N)と博士の関係性について描かれていない過去の部分が気になった」「家族の縁が薄いルートたちが博士の暖かい愛情に包まれていく描写が嬉しかった」「未亡人も、家政婦もそれぞれの方法で博士を守っているからこそ対立してしまった」「数式や野球の部分は調べながら読んだが難しかった」「最後の夕食のメニューがささやかな割に豪華すぎる(笑)」

 

などなど皆さん好きな場面や、気になる登場人物も全く違い、様々な解釈をしながら読まれているのが分かりました。

 

また、小説の中で地名は書かれていないのですが、野球の遠征試合の頻度や小川さんの出身地などから、岡山がモデルなのではないか?など皆さんと自分の考察を擦り合わせていくのも面白かったです。

 

物語の核となるオイラーの公式(eiπ+1=0)が、博士、家政婦、未亡人、そしてルートという今までバラバラだった人たちが一つになること(擬似家族のような)を表しているのではないか。数式を見てそれを一瞬で理解した未亡人もまた、博士を大切に思っているのだろうという感想には頷きが止まりませんでした。

 

登場人物ごとの年表を作って持参して下さった方や、出てくる数式や野球について解説して下さる方もいて、物語の理解がより一層深まり休憩時間も話が尽きませんでした!

 

阪神が"アレ"した年に皆さんとこの作品を読めたこともあって、博士とルートも喜んでいるかな?と暖かい気持ちになりました。

 

ご参加いただいた皆さま、楽しい時間をありがとうございました。またのご参加をお待ちしております!